反貧困ネットワーク(代表・宇都宮健児弁護士)の結成10周年を記念する反貧困全国集会が10月21日、都内で開かれた。宇都宮代表は10年を振り返り「この経済大国で貧困を可視化できたのが最大の成果。だが、根絶する取り組みは十分にはできていない」と語り、運動と連帯を一層広げようと訴えた。
同ネットの第1回反貧困集会が開かれたのは2007年3月。非正規労働の広がりで生活が成り立たず、サラ金やヤミ金被害に遭う事例などが報告された。翌年にはリーマンショックで派遣切りが横行。年末には東京の日比谷公園で「年越し派遣村」を実施した。09年には政権交代があったものの、12年に自民党が政権復帰して以降、生活保護基準の切り下げなど社会保障削減が進められている。
各団体からは「対象は限定的だが、住宅セーフティーネット法の改正を勝ち取った」(住まいの貧困に取り組むネットワーク)、「中央労福協などと連携して給付型奨学金の支給へ一歩踏み出せた」(奨学金問題対策全国会議)などの報告があった。
奨学金全国会議の大内裕和・中京大学教授は、同ネットの運動について「貧困問題の発掘と可視化で役割を果たした。今後は貧困層の固定化と中間層の解体に対抗するための社会運動が必要だ」と述べた。
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