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    イオン系警備会社で最賃違反/労基署から是正勧告/最末端に低賃金押し付け

     流通大手イオン系列の警備会社が9月末、最低賃金法など複数の労働法違反で是正勧告を受けた。巨大企業グループの最末端で、低賃金・長時間労働が労働者に押し付けられる構図だ。同社で働くプレカリアートユニオン(全国ユニオン)の組合員が労働基準監督署に申告して行政を動かしたもので、組合員らは親会社の責任を追及している。

     是正勧告を受けたのは、イオンディライトセキュリティ(本社・大阪市)で、東証1部上場のイオンディライト(施設管理など)の子会社。9月末に、東京都内と福岡県内にある六つの事業所で最賃違反、残業代不払い、36協定の上限である60時間を超えて働かせた労働基準法違反――を指摘された。

     その後、同社は最賃違反の未払い賃金分30万円弱を支払った。36協定違反については10月、社内労組(UAゼンセン)との間で、暫定的措置として上限60時間を80時間に引き上げて法違反の解消を試みている。

     

    ●親会社の責任問う

     

     親会社のディライト社によると、セキュリティ社の売り上げはほぼ全てを親会社からの受注に依存している。営業活動から広報、マスコミの取材対応まで親会社が肩代わりする。

     こうした構造の下で起きているのが、極端な低賃金と労働者に対する賃金不払いだという。

     公益通報を行った中村孝さん(プレカリアートユニオン支部長)によると、基本給は月16万円程度で、昨年の平均所定労働時間172時間で割ると930円となり、昨年度の東京の法定最賃(時給932円)を下回る。会社側は「うるう年の計算方法を誤った」と説明するが、最賃すれすれの賃金に設定していることへの言及はない。

     過去には、不当な賃金不払いも司法に指摘されている。中村さんは一昨年、夜勤の際に設定されていた4時間程度の仮眠時間について、仕事をしているのに無給なのはおかしいとして提訴。千葉地裁は今年5月、原告の訴えを認め、労働時間だと認定し、未払い賃金と付加金の支払いを命じた。

     会社側は判決に従ったが、ユニオンは提訴後に発生した賃金不払いが依然として20億円以上あると主張する。一方、親会社は「精査中」だという。

     中村さんは「会社側は全額を支払えば倒産すると言うが、親会社に偏った、受注額の利益の配分を是正すれば支払えるはず。親会社はしっかり責任を果たすべきだ」と追及している。