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    沖縄レポート/「同情」か「責任」か/米軍基地負担に対する視点

     安倍首相の自己都合としか言いようのない解散総選挙の公示翌日の10月11日、沖縄で再び米軍の重大事故が起きた。米海兵隊普天間基地所属の大型輸送ヘリCH53Eが、東村高江の牧草地に不時着し、炎上、大破した。

     

    ●手付かずの地位協定

     

     東村高江では昨年、日本政府が全国から大量の機動隊員を投入し、激しい弾圧の中で米軍ヘリ着陸帯の工事を強行した。大阪府警機動隊員による「土人」発言があり、「危険な反対派市民がいるので現場に近づけない」などの東京MXテレビのデマ報道も問題になった。世界遺産になるべき貴重な森が破壊され、オスプレイや大型ヘリが深夜まで低空を飛び交う恐怖にさらされてきた地域だ。

     昨年12月の名護市東海岸へのオスプレイ墜落も記憶に新しい。2004年8月には宜野湾市の沖縄国際大にCH53Dが墜落している。いずれも、重大な航空機事故だが、日本側は立ち入ることができず、直接捜査を阻まれている。米軍は情報を隠ぺいし、日本政府はそれに加担する。

     今度の事件でも、多くのメディアが地位協定改定を議論すべきと主張した。日本側が立ち入りや捜査ができないのは日米地位協定があるからだ。ドイツやイタリアでは、駐留米軍の夜間飛行禁止や捜査権は認められているのだから。しかし、日本政府は米国と交渉する気はない。

     米軍基地の集中が、沖縄で日常生活が脅かされ事故が頻発する理由だ。問題はなぜ沖縄に米軍基地が集中しているのかだ。

     

    ●基地集中の歴史に着目

     

     京都新聞は10月13日付社説でこう主張した。「在沖縄米軍の大部分を占める海兵隊は、50年代まで岐阜県など本土にも駐在していた。沖縄に移ったのは、米軍への反発が強まったためだ。沖縄は当時、米施政下にあり、基地拡大に反対することは不可能だった」「『本土は基地負担を沖縄に押しつけて日米安保体制の利益だけを享受している』。沖縄ではこう指摘されることが少なくない」「歴史的経緯を直視し、日本全体で沖縄の声に向き合う必要がある」

     大半のメディアが沖縄への「同情」をベースに論じる中で、京都新聞社説は基地集中の歴史に着目した。沖縄に基地を押し付けてきた当事者としての「責任」を問う視点と言えるだろう。

     各紙の社説では、「米軍機は日本中で飛んでおり、沖縄だけの問題ではない」という指摘も多い。しかし、沖縄以外では選挙の重要争点にならない。沖縄以外での被害は沖縄ほど目立たないため無視されているのだろうか。ここにも当事者意識の欠如がある。

     米軍問題が自分ごとにならないのは、「責任」の問題になっていないからだ。政治家にもジャーナリズムにも市民運動にも「同情から責任へ」の転換が問われるべきだ。日々の選挙報道の中で痛感している。