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    老後に備える――医療・健康保険編(3)/高額療養費を活用する

      高齢になると病院の世話になる機会が増えるが、心配なのは医療費だ。ある調査では、8割の現役世代が老後の医療費不安を抱えていた。健康保険の高額療養費制度を活用し、自己負担を可能な限り抑えたい。

     高額療養費制度のポイントは3つ。(1)標準的な年収の場合、医療費自己負担額は1カ月8万円+数千円程度が上限(2)複数医療機関への支払い分や世帯(※1)での合算が可能(3)1年以内に高額療養費が3回適用された場合、4回目からの自己負担額は4万4千円余りに減額――。

     例えば、医療費50万円の自己負担額は3割の15万円だが、高額療養費を申請(※2)すれば約6万7千円が払い戻される。ある月の医療費自己負担額が夫7万円、妻7万円といったケースでは、合算により高額療養費の対象になる。

     ただし入院時の食事代や差額ベッド代などは高額療養費の対象外。また69歳以下の人が医療費を合算する場合、一医療機関での自己負担額は月2万1千円以上が条件になる。

     なお、健康保険から交付される限度額適用認定書を事前に医療機関に提出しておけば、上限額以上を窓口で支払う必要がなくなる。

     ※1 加入する健保が同一の家族に限られる

     ※2 健保組合によっては申請手続きが必要ない