希望の党を発足させた小池百合子は、日本新党に始まって、新進党、自由党、保守党、そして自民党と、これまで五つの党を渡り歩いてきた。「オレはいま、どこの党かと秘書に聞き」という川柳があるが、小池は順番を間違えずに所属した政党を言えるだろうか。
●原発ゼロ語る資格なし
もちろん、その渡りは理念や政策の違いによって生じたものではない。
それなのに民進党との〃合流〃で、改憲などを持ち出して選別の基準とした。
先の都議選では公明党と組み、今度の衆院選では自民党と手を結んでいる公明党と対決する構図になる。
公明党(創価学会)のいい加減さもさることながら、小池のデタラメさはそれを上回ると言わなければならない。
大体、いまになって原発ゼロを主張しているが、わずか6年前、東日本大震災による東京電力福島原発の大惨事が起こった時でも、その直後に、小池は自民党の総務会長として原発再稼働のロードマップを早くつくらなければならないと強調していた。
こんな小池に政策や理念を語る資格はないのである。
よく小池は「しがらみのない政治」と言うが、自らが政党を渡り歩いてきたしがらみを追及されるのが嫌なのだろう。
●「壊憲」で安倍と通底
安倍晋三の改憲は、憲法の原理そのものを壊す「壊憲」であり、この点では安倍と小池の間に違いはない。
私はこれまで、安保法制反対デモの中で掲げられた「自民党に天罰を! 公明党に仏罰を!」というスローガンを私たちの合言葉にしようと訴えてきた。
そして「維新には神罰を!」と付け加えてきたのだが、今度はそれに「希望の党には絶望を!」と追加しなければならない。
小池は日本維新の会の代表で大阪府知事の松井一郎と会って提携することを決めたらしい。それを仲介したのは元経済財政相の竹中平蔵で、9月30日の夜に、小池と松井が会った時には竹中と前大阪市長の橋下徹も同席したという。
つまり、小池の背後には新自由主義ならぬ旧自由主義の推進者の竹中がいるわけである。
●護憲リベラルに期待
同志社大学教授の浜矩子は私との対談『どアホノミクスよ、お前はもう死んでいる』(講談社+α新書)で、野党は物欲しげに「次の内閣」などを言っていないで、「影の内閣」に徹すべきだと断言していた。野党は徹底的に政権を批判し抜けばいいのであって、対案を出すなど最悪だ、と言うのである。私も、「対案を出せ」と言う奴と、「自己責任」を言いたがる者は「敵」だと思っている。
ところで、昨年1月22日付の『朝日新聞』の「天声人語」で、民主党は「立憲民主党」と党名を改めてはどうかと私が提案した、と書かれた。
確かに「立憲政治を取り戻す国民運動委員会」設立の記者会見でそう主張したが、まさにその名の通りの政党が枝野幸男を党首として誕生した。これを中心とする護憲のリベラル勢力を私たちは全力で応援しなければならない。
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