「なくそう!官製ワーキングプア第5回大阪集会」が9月23日、大阪市内で開かれ、約150人が参加した。改正地方公務員法・地方自治法の施行(2020年4月)をにらみ、非正規公務員の雇用と処遇をどう守り発展させるかが大きな課題。改正法の問題点を広く知らせることと併せ、比較的権利が守られる「現業職」の範囲を拡大するなど、あの手この手を駆使する対応策も提起された。
●均等待遇の流れに逆行
集会はNPO官製ワーキングプア研究会や、弁護士、研究者、上部団体の枠を超えた自治体単組・役員らでつくる実行委員会が主催。「期限のない仕事に期限をつけて雇用するな」をスローガンに掲げた。改正地公法・自治法への対応を検討しようという趣旨だ。
改正法は今年5月に成立した。非常勤一般職、非常勤特別職、臨時職に大きく分かれている非正規公務員の大半を新たに設ける「会計年度任用職員」(フルタイムとパートの2種類)に移行させる内容だ。フルタイムには給与と一時金を含む諸手当を支給。パートには「報酬」と一時金(期末手当)を支給できることとする。雇用(公務では任用)期間は「最長1年」と明記。ただし再度任用は可能としている。
期末手当の支給に道を開いたとはいえるものの、全体としては評価できないという意見が多い。
竹信三恵子和光大学教授は「今の劣悪な非正規公務員の状況を合法化するもの。恒常的な仕事を担う労働者を『無期』でなく『1年』雇用でいいこととした。しかも、労働時間が1分でも短ければパート扱い。労働時間で処遇を低くすると明記してしまった。均等待遇の世界の流れに反する、びっくりポンの法改正だ」と批判した。
●対応策(1)現業職種を拡大
自治体は今後、改正法に基づいた条例改正と制度変更が求められる。総務省は8月、自治体の参考にしてもらおうという趣旨で「マニュアル」(第1次案)を作成し、配布した。
集会ではマニュアルも活用しながら、どう対応していくかを検討した。
官製ワーキングプア研究会理事で研究者の上林陽治さんは「パートの会計年度任用職員であっても、給料・手当を支払えるようにする方法」について問題提起した。改正法がパートに「報酬・期末手当」の支給しか認めていないためだ。
上林さんは「現業職種の非正規は今でも給与・手当の対象。ところが、どの職種・事業所を現業とするかは法令に定めがなく、行政機関ごとに適宜定める形となっている。自治体ごとに定めればよく、範囲を広げることは可能ではないか」と問題提起した。
例えば、保育や図書館の業務。自治体の多くは「非現業」扱いにしているものの、法的な根拠はないのだという。
●対応策(2)定数への組み込み
改正法では「最長1年」雇用が明記された。それでも実質的に無期雇用化する方法がある。条例で会計年度任用職員の「定数」を定めるのである。
自治体は「予算単年度主義」が原則。ところが、30年以上働く職員は単年度というわけにいかず、例外として「定数条例」を定めて継続雇用を確保している。上林さんは「会計年度任用職員を定数化すれば、継続雇用が保障される」と指摘する。実際、東京の東村山市は嘱託職員に関する規則で「事務員10」「国際交流員3」などと規定していた。非正規職員の処遇に関する同市非常勤の裁判判決でも、定数化していた事実が常勤職員と同等との判断根拠の一つになったという。
●対応策(3)経験年数を加味
改正法の具体化で心配されているのが、経験加算給の扱いだ。「最長1年」とされる非正規職員に定期昇給のようなものは不要とされかねないためだ。
ところが、総務省マニュアルでは常勤職員の初任給を基礎として、職務内容や職務経験、在勤する地域の要素を考慮して給料・報酬を決めることとされた。上林さんは「人事院のガイドラインを踏まえたものだ。総務省は『昇給』はだめと言ってきたが、これは昇給ではなく初任給の経験年数調整という解釈だ」と解説し、活用を訴えた。
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