山口県弁護士会(田畑元久会長)がこのほど、最低賃金の速やかな千円以上の実現をはじめ、非正規労働者の声を反映する審議委員の選出、現在非公開とされている改定審議の公開を求める会長声明を発表した。同会による最賃についての声明は初めて。審議のありように厳しい視線を注いでいるのが特徴だ。
山口県の2017年度の改定額は777円で、全国加重平均より71円低く、東京より181円低い。声明は、政府が到達指標として示す時給千円でも安定した生活は困難だとし、「可及的速やかに、時間額千円以上の金額とし、更なる大幅な引き上げを行うべき」と述べている。
審議会のありようにも言及している。労働側委員のほとんどが大企業の正規社員の代表で、非正規労働者の声を反映させることが難しいと指摘。非正規労働者を数多く組織する組合からの任命を進めるべきとしている。公益委員には、生活困窮者の就労支援を行っている団体の出身者や、社会保障を専攻する学者の選任を検討するよう求めた。
現在非公開とされている改定審議には、「国民の知る権利を侵害するだけでなく、『みんなのことはみんなで決める』という民主主義にも反する」と批判。金額審議も公開している鳥取地方最賃審を引き合いに、審議の内容を公開すべきと断じた。
9月半ばに労働局に申し入れ、審議の公開を求めたが、非公開は審議会の判断だと説明されたという。同会の斎藤隆弘弁護士は「審議を秘密にする理由は何もない。私たちは全く納得していない」と話す。
日弁連によると、確認できるだけで、全国52弁護士会の内、今年は17弁護士会が最賃に関する談話や声明を発表している。
コメントをお書きください