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    〈全労働大会傍聴記〉労働行政は存続の正念場に/「働き方改革」と疲弊する現場

     労働基準監督署や公共職業安定所(ハローワーク)などの職員でつくる全労働省労働組合の大会(9月14~16日、滋賀県長浜市)を傍聴した。安倍政権が進めようとしている「働き方改革」には問題が多いと指摘。一方、本気で働き方をよくするのであれば拡充すべき行政体制が、逆に切り縮められていることに対して、現場からは怒りの声が相次いだ。このままでは労働行政は存続さえ危ぶまれる事態になりかねないと感じた。

     

     森崎巌委員長は冒頭、政府の「働き方改革」に言及した。「残業時間に上限を設定すること自体には大きな意義があるが、その水準は過労死ラインだ。(運輸などの)特定業種への適用を猶予し、新たな適用除外(高度プロフェッショナル制度など)も盛り込まれている。全ての労働者に最低限の労働条件を保障すべきとした労働基準法の原則をゆがめるものだ」と厳しく批判した。

     併せて「人工知能(AI)などの技術革新を背景に、労働法が適用されない労働者を増やす方向も打ち出されており、労働行政が本来目指すべき方向とは大きな矛盾がある」と指摘した。

     大会討論でも、働き方改革関連法案の内容を問題視する発言が続いた。

     関西地方の監督官は、雇用対策法の目的に「生産性向上」が追加されることに触れ、「企業収益を向上させる方向へ労働者を駆り立てるもの。生産性のものさしで障害者や高齢者、目標未達成の労働者を切り捨てることになりかねない。労働行政を経済産業行政に従属させることにならないか」と述べた。

     関連法案については「働かせ方を改悪する中身であり、労働者のためになるのか疑問。問題点を幅広い団体に訴えていく必要がある」との声も。

     厚生労働省が15年にまとめた報告書「働き方の未来2030」にも厳しい目が向けられた。柔軟で多様な働き方として個人事業主を推奨するような内容であり、「働かせ方を規制すべき厚労省がつくったものなのか、首を傾げざるを得ない」との指摘もあった。