下流老人や老後破綻へ一直線につながっているのが熟年離婚。退職後の生活の支えは年金が基本になるが、離婚時に年金を2人で分割することになるからだ。婚姻期間が長く、妻が専業主婦という場合には、2人とも月10万円そこそこの年金になりかねない。
離婚時に分割対象となる年金は、厚生年金部分のみ。基礎年金部分は、夫婦が共に加入しているという設定なので分割対象外だ。分割の対象は、婚姻期間に納めた保険料であり、婚姻期間が長いほど、分割の分母が大きくなる。
分割の方法は二つ。一つは、妻が専業主婦だった場合の「3号分割」。3号分割では、婚姻期間中に納めた夫の厚生年金保険料の2分の1が妻に分割される。夫の合意は必要ない。ただし、3号分割は、2008年4月に始まった制度なので、それ以前に支払った年金保険料の分割は対象外。その分も含めて分割を求める際には、次の「案分分割」が必要になる。
案分分割は、離婚する夫婦の合意、または裁判所の調停で分割割合を決める制度。共働き夫婦の場合、賃金が異なれば厚生年金(比例報酬部分)の受給額にも差が出てくる。離婚後にその差が出ないよう、夫婦期間に支払った保険料を合算し、それを2人で分割する仕組みだ。
分割割合は0~50%で自由に決められるが、ほとんどの離婚夫婦が50%ずつを選択(裁判所の調停も同時)している。
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