国連で核兵器禁止条約の署名式が行われた9月20日、世界同時行動「平和の波」が日本を起点に取り組まれた。首相官邸前では、被爆者57人が「政府は条約批准せよ」「被爆国なら責任果たせ」のコールを響かせた。
2歳の時に広島で被爆した大下克典さんは「世界の3分の2に近い国が条約に賛成している。条約が発効したら世界の行動規範になるだろう。核兵器使用は、世界の3分の2の国から非難される。もう使えない兵器だ」と条約の有効性を説いた。
約300万筆のヒバクシャ国際署名を国連に届けた和田征子さん(長崎で被爆)は、条約に署名しない理由を日本政府は国民に説明すべきと述べ、「非核三原則を順守してきた国として、条約に署名するのは当たり前だ」と訴えた。
長尾ゆり全労連副議長は「今日は歴史的な日だ。私たちの声が核のない世界への道を開く。被爆者の苦難に心を寄せ、核兵器のない世界にしよう」と呼び掛けた。
●各党に条約批准を要請
日本被団協は日本政府に条約参加を求める院内集会を開き、自民・公明両党を含む政党代表者に要請書を手渡した。
同日の記者会見では「唯一の戦争被爆国」「(核兵器保有国と非保有国の)橋渡し役」を自称しながら、条約参加を見送った政府に厳しい声が相次いだ。
3月に国連の条約会議で被爆者代表としてスピーチした藤森俊希事務局次長は、日本政府に対し「手を結べない時に両方の手を結ぶのが橋渡し役であって、核保有国の片方だけを見て『やめた』というのは稚拙。橋渡し役どころか核保有国と非保有国の溝を深めているのが日本だ」と指摘した。総選挙について問われると、被団協としては特定の候補者を応援することはないと断った上で「条約に参加しなかった日本政府に被爆者は怒っている。日本政府が条約に賛同するよう運動することはあると思う」と述べた。
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