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    高プロ制などを抱き合わせに/労基法改定の法案要綱/残業の「上限規制」も設定

     「働き方改革」の焦点である労働基準法改定などを盛り込んだ「働き方改革推進法」の法案要綱が9月8日、厚生労働省の諮問機関、労働政策審議会労働条件分科会に示された。残業の罰則付き上限規制とともに、労働時間規制の適用を外す高度プロフェッショナル制度(高プロ制)の創設、企画業務型裁量労働制の適用職種拡大が抱き合わせにされている。法案要綱は連合本部が7月に行った修正要請が反映されているが、労動側は反対の立場をあらためて示した。

     法案要綱は高プロ制の健康確保措置について、原案では選択肢の一つだった「1年間を通じて104日以上、かつ、4週間を通じ4日以上の休日を与える」を義務付けた。選択肢として、年1回以上の2週間連続の休日や特別の健康診断実施を加えるなど、連合の修正要請を反映させている(表)。

     企画型裁量制の適用拡大では、企画、立案、調査、分析の業務を「主として行う」などの補強を加え、営業職全般への適用を懸念する連合の要請に応じた。

     この日の審議で、両制度の創設・拡大が法案要綱に盛り込まれたことに、労働側委員の村上陽子連合総合労働局長は「非常に残念。高プロ制創設は必要なく、裁量制の対象業務の拡大にも反対だ。この考え方は変わらない」と発言。修正内容には踏み込まず、連合の原則的立場を表明した。

     一方、使用者側は「必要な修正がされたものと理解している。健康を確保しつつ、柔軟な働き方を選択できる制度。生産性向上の一助となる」と賛成意見を述べた。

     荒木尚志分科会長が法案の一本化に理解を示し、使用者側も賛同する中、労働側の反対意見を建議に併記し、取りまとめに入るものとみられる。

     

    〈解説〉労基法70年目の大改悪

     

     高プロ制では、残業や休日などの労働時間規制が外される。管理監督者にさえ適用される深夜労働への規制も適用されない。健康確保措置の選択次第では24時間以上働かせることも合法となる。労働基準法制定70年目の大改悪だ。

     対象者は、高度に専門的な知識を要する職種で、年収要件は1075万円以上としているが、「小さく産んで大きく育てる」狙いが潜んでいることは、塩崎恭久前厚労相の発言や、経団連の過去の方針から明白である。

     もう一つの焦点である裁量労働制は、どれだけ働いても前もって決めた時間働いたとみなす制度。そのうち企画、立案、調査、分析などの仕事に適用される企画型で、営業職に広げることが提案されている。労働側は営業職全般に広がることを懸念する。

     いずれの制度も、業務量や目標を引き上げ、長時間労働が常態化しても、人件費コストは増えない。短期利益を追求する企業にとっては魔法のつえのような制度である。働く者を犠牲にする「生産性の向上」にほかならない。

     「働き方改革」の美名の下、労働者保護規制を受けられない働き手を増やそうとしていることに、注意喚起が必要だ。