老後生活に備える（８）／繰り下げ受給時の注意点

　老齢基礎年金や老齢厚生年金の支給時期を遅らせる「繰り下げ受給」。１カ月単位での繰り下げが可能で、最長70歳まで、60カ月間支給開始を遅らせることができる。

　繰り下げ受給のメリットは年金受給の増額。１カ月受給を遅らせるごとに、０・７％ずつ年金が増える。本来の65歳支給を66歳にすれば、０・７％×12カ月＝８・４％増。70歳支給の場合は42％も増える。

　ただし年金受給期間が11年以上にならないと、支給を遅らせた分の年金は取り返せない。健康面で不安がある人は、65歳受給が望ましいかもしれない。

  １９６１年４月１日以前に生まれた人には、「特別支給の老齢厚生年金」が65歳前に支給されるが、この年金については繰り下げ受給の対象外で、年金額は増えない。62歳から特別支給分をもらう権利のある人が、65歳で支給開始手続きをした場合、未支給だった３年分をまとめた年金が振り込まれるだけだ。

　特別支給の老齢厚生年金を65歳まで受給した人も、65歳以降の老齢厚生年金・老齢基礎年金の繰り下げ受給を選択することは可能だ。