労働力需給の安定、技能訓練など雇用政策の基本法である雇用対策法の見直し審議が9月1日、労働政策審議会職業安定分科会で始まった。一人親の雇用促進や傷病治療中の労働者の再就職支援などを掲げているが、生産性向上を法の目的に盛り込んだことや、雇用関係によらない働き方を普及するとの文言が入ったことに、労働側が違和感を繰り返し表明した。
概要案は法律の目的を見直し、「労働者がその多様な事情に応じた就業ができるようにすることを通じて能力を有効に発揮できるようにするとともに、労働生産性の向上を図り、(略)経済及び社会の発展並びに完全雇用の達成に資すること」に改めるとした。
これに労動側委員が違和感を表明。「労働強化や人員削減を危惧する。労働生産性は個別労使の問題、法律に書くことなのか」「削除できないならば、企業は労働強化や人員削減を意図的に行わないと書き加えるべき」と述べ、「必要」だとする厚労省に食い下がった。
その他に紛糾した点が、「国の講ずべき施策」に盛り込まれた「多様な就業形態の普及」の中に「雇用関係によらない働き方」が含まれていたこと。同省が審議の中で明言した。
実際は労働者と同じような働き方なのに、労働法の保護が受けられない労働者が増えかねない。村上陽子連合総合労働局長は、「普及」と書くことに違和感を示した。
個人請負の働き方については経済産業省が昨年、普及のための法整備を提言。政府の働き方改革実行計画にも、「非雇用型テレワーク」の増加を前提に、法整備の検討を明記していた。
秋の臨時国会への法案提出をめざしているという。
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