鹿児島県内にある病院の勤務医が労働条件向上を目指して労働者過半数代表に立候補し、選出後に病院側から解雇される事件が今年5月に起きた。この医師は現在、解雇撤回などを訴え裁判で争っている。勤務医らでつくる全国医師ユニオンが9月1日に記者会見して明らかにした。
●悪質な不当解雇
医師はこれまでも医局長として労働条件の改善を求めてきた。2016年には36協定締結のための労働者代表に立候補することを見据えて医師ユニオンに加盟している。
今年3月、過半数代表に選出された医師が36協定に調印したところ、突然懲罰委員会への召喚状が送られ、5月に懲戒解雇通知書を手渡された。解雇の内容は男性の人格や経歴詐称などを指摘するもので、男性はこれを不服としている。
●一勤務医の問題でない
裁判では(1)不当解雇の撤回(2)解雇日以降の賃金支払い(3)過去2年にわたる当直勤務の賃金支払い――などを求めている。
ユニオンは、病院側がこれまで過半数代表者を正式な手続きで選出していなかったことも問題視。「政府も長時間労働是正に乗り出す中、このような法律違反は法治国家としてあり得ない。一勤務医の問題ではなく、36協定の根幹的な前提を崩しかねない問題として提起したい」と話している。
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