「不安」と「心配」――日本人の老後生活に関するキーワードはこれにつきる。日本銀行の「家計の金融行動に関する世論調査」では、「老後生活に不安がある」と考える人は約9割。90年代前半は6割程度だから、25年間に1・5倍にも増えている。とりわけ「非常に心配である」とする層は、3倍(約15%→約45%)に急増した。
この不安感は、世界的にも突出している。米国のシンクタンクが4年前に発表した国際比較によると、老後生活を「安心」と考える人の割合は、お隣の中国やアフリカのナイジェリア、西アジアのパキスタンといった国々の半分以下。米英などと比べても、安心感の低さは際立っている。
老後生活の心配はどこから来ているのだろう? 日銀調査では、老後生活に不安を感じる理由についても聞いているが、この30年余りの間で増加した唯一の項目(理由)が「年金や保険が十分ではない」。半数近い人が「年金だけでは日常生活費を賄うのが難しい」と考えている。
今年4月から年金受給額は0・1%減額された。それ以前にも3年にわたって2・5%削られてきた。年金への信頼がボロボロに崩れつつあることこそが、老後不安の元凶にあるといえそうだ。
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