東京大学が労働契約法で定められた「無期転換をルール」を無視し、有期契約の教職員を5年で雇い止めにしようとしている。同大学職員組合と首都圏大学非常勤講師組合が8月23日、都内で記者会見を開き、こうした違法な対応を厳しく批判した。
東大には現在、大学事務や、大学病院で医療・看護の補助業務を行うパート労働者ら5300人が勤務している。
改正労働契約法により来年4月以降、5年を超える有期契約職員の無期転換が可能になる。しかし、東大は「以前から5年上限ルールがある」として、改正労契法の規定にかかわらず、一部を除き約4800人を雇い止めにする意向だ。
●空白期間を6カ月に
東大は有期のパート労働者について、上限5年ルールと3カ月間のクーリング期間を適用してきた。改正労契法では、3カ月のクーリング期間は認められないため、あえて6カ月に延長する就業規則改定を実施。東京大学教職員組合はこの改定について「労使の合意なく決められたもの」と指摘している。
非常勤講師組合の志田昇書記長は「東大は、雇用のルールを解説した文書で『無期転換ルールと東大ルールは考え方が異なる』と明記し、自ら労契法違反を公言している」と告発した。
●全国への波及を懸念
8月7日に行われた団体交渉で、両組合は5年上限を撤廃するよう求めたが、東大側は応じなかったという。
非常勤講師組合の松村比奈子委員長は「86ある国立大学のうち、無期転換ルールを定めたのは6大学だけ。他の大学も東大が無期転換をどう扱うかを注視している。東大の対応に全国の大学で働くパート労働者の運命がかかっていると言っても過言ではない」と話した。
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