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「なぜ日本で脱原発が進まないのか?」をテーマにした被爆72周年原水爆禁止世界大会・国際会議(原水禁国民会議など実行委員会主催)が8月5日、広島市内で開かれた。脱原発へとかじを切った韓国と台湾の専門家がそれぞれの取り組みと課題について語った。
昨年、台湾の総統(国家元首)に就任した蔡英文氏は選挙で脱原発を公約。今年1月には法改正で2025年までの原発停止を決めた。台湾大学のシュウ・グァンロン教授は、この決断の背景に(1)発電量に占める原発の割合が30年間に4分の1(85年47・9%→16年12・0%)に低下(2)稼働中の原発6基は運転開始から30年以上経過し、2025年には寿命を迎える――などの条件が重なっていることを指摘した。
その一方で、電力会社が「脱原発は電力不足を招く」との主張を崩していないこと、25年には蔡総統の任期が切れていることなどを挙げ、「運動がなければ、脱原発は実現しない」と、継続した世論が不可欠と述べた。
韓国では5月に就任した文在寅大統領が、新規の原発建設計画を白紙化し、寿命を越えた原子炉の運転も取り止める「脱原発」を宣言している。
韓国緑の党・脱核特別委員会委員長のイ・ユジン氏は、マスコミによる脱原発批判など原発推進派の激しい巻き返しが起きていることを報告。「原発事故を起こした日本は再稼働している」という口実が使われていることに触れ「韓国と日本、台湾、中国の原発問題はつながっている。韓国と日本の脱原発運動の協力が求められている」と連携を呼び掛けた。
台湾と異なり、脱原発が法律に明記されていない弱点をイ氏は指摘。「法的裏付けを獲得しなければならない」と課題を挙げた。
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