精神科病院の場合、「精神科特例」によって診療報酬(※)も一般病院より低く設定されている。
一日の入院に対する平均的な診療報酬は、一般病院の4万円台に比べ、精神科病院は1万円台で3分の1から4分の1程度(社会医療診療行為別調査)。入院基本料が安く、一般病院と違って検査や手術などの処置が少ないためだ。
結果として人件費にしわ寄せされる傾向が強い。勤続約10年の正規職員で、諸手当を含めた所定内給与は約25万円。一般病院の28万円より3万円以上低い。自治体病院との比較だと6万円以上も差がつく(表)。
●通常は禁止のはずが
都内の精神科病院に勤める看護師は「通常業務が終わった後、アルバイトに行く看護師は珍しくありません。精神科独自の事情です」と漏らす。
「午後6時に仕事を終え、その後さらに他の病院で看護師のアルバイトをするんです。精神科病院はどこも人手が足りないので、すぐ採用されます。ダブルワークを終え、疲弊した状態で翌日出勤し患者の点滴を用意するという光景が日常的に見られます」
通常なら正職員のダブルワークは禁止のはず。しかし、「こうしないと生活していけない職員もいるから」という理由で病院も黙認しているのだという。
今年で勤続2年目の、ある看護師は「奨学金の返済もあり、今の賃金はかなりきつい。このままの処遇で将来結婚できるかも不安」と話している。
※診療報酬 診察や入院、検査、手術などの医療行為に対して、健康保険組合などの保険制度から支払われる料金をいいます。医療の進歩などに応じて、2年に1度改定されています。
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