政府の働き方改革実行計画をめぐって、運輸会社の労組でつくる運輸労連の定期大会(7月6、7日、滋賀県大津市)では怒りの表明が相次いだ。幹部や代議員が、他産業より長い残業上限規制が課せられることを厳しく批判した。運輸労連はこの問題の改善を訴えるため、臨時国会までに緊急の100万人署名運動を行う構えだ。
残業の上限規制で、自動車運転業務については、法施行5年後に年960時間以内の規制を適用するとした。年720時間という一般的な規制より長い。
「(脳心臓疾患による労災認定が最も多い)トラックドライバーの過労死を是認する今回の合意に強く反対する。なぜもっと踏ん張れなかったのか」。連合の逢見直人事務局長が来賓として登壇する中、大会の開始を告げる議事進行役がこう苦言を呈した。
難波淳介委員長は「このままではトラックドライバーが絶滅危惧種になる」との憂慮を表明し、「5年猶予は理解するとしても、上限時間が他産業労働者と異なる点だけは合点がいかない」と主張。同じ規制の適用を求め、臨時国会が始まるとされる9月までに100万人の請願署名運動を呼び掛けた。
厳しい指摘に終始うつ向きがちだった逢見事務局長は「労動側の主張を反映できなかったことは大変残念」と述べ、「まだ出発点。秋の臨時国会で全面適用に向けて1歩でも2歩でも近づけなければならない。連合としても署名を全面的にサポートし、政策の反映につなげたい」と理解を求めた。
●「同じ人間だ」
討論でも残業上限規制への不満が噴出した。
全国9地方ブロックのうち5地方の代議員が「なぜ5年後という長期(の適用猶予)なのか、上限960時間はどう湧いてきたのか、説明を求めたい」(北海道)などと述べた。
傍聴席や代議員席から「そうだ」の賛同の声やひときわ大きな拍手が響いたのが、関東地方の代議員の次の発言だ。
「なぜトラックドライバーだけ長時間労働でも平気だと、政府も厚労省も連合も考えるのか。おかしいではないか。難波委員長にお願いがある。連合、他産別に出向き、『私たちは同じ人間だ、運輸業界だけ長時間労働はやむを得ないと考えるのではなく、同じレベルで考えてほしい』と、それぞれのトップの方々に伝えていただきたい」
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