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    日本の最低賃金(2)/広がる一方の地域間格差

     最低賃金の地域間格差は広がる一方です。最も高い東京と最も低い沖縄、宮崎との間には218円もの時給格差があります。週40時間労働とした場合、年収で約45万円もの格差。この改善が急務です。

     地域間格差は2006年度改定時に109円でしたが、この10年で倍増しました。08年施行の改正最賃法で「生活保護との整合性」が盛り込まれ、それまで1桁台だった引き上げ額が2桁に増えたものの、副作用も生じてしまいました。

     なぜか。それは、生活保護費が比較的高い都市部の引き上げが先行したことに加え、都道府県をA~Dの4ランクに分けて引き上げ目安を示す現行制度では、最賃額が低いC、Dランク県の引き上げ額が相対的に低くなるという、制度上の問題があるためです。

     グラフは、東京を「1」とした場合の各都道府県の最賃の比率と、同じく東京を「1」とした場合の自動車整備工の所定内賃金の比率をそれぞれ示したものです。賃金は需要と供給に影響されるため、一部で例外はありますが、おおむね最賃額の高低と起伏が一致しています。最低賃金が実勢賃金に影響を及ぼしているのです。

     同じ仕事をしながらこれほど最賃に差があるというのは、政府が掲げる「同一労働同一賃金」の趣旨に反するとの指摘もあります。都市部への人口流出にも拍車をかけています。

     地域別に最賃を設定している国は、国土の広いカナダや、島の多いフィリピンなど少数です。日本のように国土の狭い国で、47もの最賃を設定している必要があるのかが問われています。