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    〈最低賃金を考える〉(1)/国際的にも低い日本の水準

     日本の最低賃金は全国平均823円(時間額)です。これは一人当たりの最賃額を計算した加重平均で、47都道府県の最賃を47で割った1都道府県当たりの単純平均ではありません。人口の多い都市部の最賃が比較的高い分、平均額が高めに示されます。

     実際823円を上回る地域は、大都市部を中心にした1都2府3県だけ。残る41県はこの水準より低く、最も低い額は、沖縄、宮崎両県の714円です。

     仮に823円でどれぐらいの年収になるのか。盆も正月も祝祭日もほぼ休まず1日8時間働いて、約170万円。そこから税金や社会保険料を差し引かれるのですから、とても「健康で文化的な最低限度の生活」(最低賃金法)を送れるものではありません。

     国際比較でも低額は明瞭です。各国の賃金の中央値と最賃の比率をみると、フランスは62%、その他の欧州諸国は50%前後で韓国もその一群に仲間入りしていますが、日本はいまだに40%。先進国の中では依然として最低水準です。

     この指標で日本が50%になるには、千円超への引き上げが必要。欧州諸国は全国一律ですから、日本が先進国水準といえるようになるには、沖縄や宮崎も千円にすることが不可欠です。

     米国は日本より低い36%です。全米に適用される7・25ドル(804円)の連邦最賃が低いためで、州によっては15ドル(1665円)への段階的実施を決めるなど、引き上げの機運が高まっています。