地域別最低賃金の今年度の改定審議が6月27日、厚生労働省の中央最低賃金審議会でスタートした。年率3パーセント程度、時間額で二十数円の引き上げになるとみられる。地域間格差の是正や、最賃のあるべき水準論議、中小企業支援、透明性ある審議の実現など、課題は山積している。
最賃の金額改定は毎年行われる。おおむね7月下旬には中央最賃審議会が引き上げ目安を示し、47都道府県の地方最賃審議会で金額を確定していく。10月1日の改定額発効をめざす。
政府は昨年、年率3パーセント程度の引き上げ、全国加重平均千円をめざすとの目標を掲げ、21~25円の目安が示された。
27日の審議では、同様の引き上げと目標を掲げた「働き方改革実行計画」に配意するよう求めた、厚労大臣の諮問文書が読み上げられた。
労働側の須田孝連合総合労働局長が発言。この10年で最賃の改定審議は、上げ幅から水準の議論に変化していると指摘し、「(最賃改定審議のルールを定めた)目安制度のあり方に関する全員協議会後初の審議。(審議で用いる)参考指標を精査しながら、最賃の水準をどうするかにこだわった議論をしていきたい」と抱負を語った。使用者側の発言はなかった。
その後、目安を策定する小委員会の審議に移行したが、仁田道夫会長(東京大学名誉教授)の提案で今年も議事を非公開とすることが全員で確認され、報道陣をはじめ傍聴者全員が退室させられた。
〈最低賃金って何?〉
これより低い賃金で働かせるのは違法と国が定める金額。下回った場合は差額を支払わなければなりません。使用者には懲役や罰金などの刑事罰も課されます。
47都道府県ごとに定められ、毎年改定されます。最も低い額が沖縄、宮崎の714円で、最高額は東京の932円。最低賃金法は「健康で文化的な最低限度の生活」への配慮をうたっていますが、問題は、その役割を果たせているのかどうかです。
政府は、全国加重平均千円(現在は823円)の実現を掲げていますが、地方は引き上げ幅が小さく、一層の格差拡大が懸念されています。
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