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    軍事研究させない運動を/日本科学者会議がシンポ

     さまざまな分野の研究者や教員でつくる日本科学者会議が6月25日、東京の明治大学でシンポジウムを開き、160人が参加した。「学術と学術体制のあり方を問う」と題し、研究成果の軍事利用をどう拒否していくかを話し合った。

     シンポは明治大学教職員組合などが後援し、全国大学高専教職員組合(全大教)や日本私立大学教職員組合連合(私大教連)、軍学共同反対連絡会、九条科学者の会などが協賛した。 軍事研究については、防衛省が安全保障技術研究推進制度の枠を拡大し、大学などの研究者に資金援助する動きを強めている。一方、日本学術会議は3月、こうした動きに対して「学問の自由」「学術の健全な発展」の観点から「問題が多い」と指摘。軍事的安全保障研究につながらないよう、大学や研究機関が自主的な基準とチェック体制を設けることとした。

     科学者会議は、この声明を基本的に支持し、「全国の大学・研究機関にこの声明の真髄を広げて、豊かな内容のガイドラインづくりを進めなければならない」(井原聰事務局長)としている。シンポでは、そうした取り組みや、検討すべき観点などが報告された。

     「軍学共同を止めるため、防衛省の研究に応募しないよう大学執行部への申し入れを行っている。市民団体との連携も必要だ」(全大教)、「軍学共同に対する大学の規定づくりは遅れており、運動を強めたい」(私大教連)などの発言があった。科学者会議の支部からは、三重大学や徳島大学で市民団体にも問題点を伝えながら、防衛省研究への応募をさせなかった取り組みが報告された。

     憲法の研究者は「学問の自由といっても、日本国憲法がある以上、軍事研究は自由ではない」と指摘していた。