全労連や純中立労組でつくる国民春闘共闘委員会は6月21日、都内で代表者会議を開き、2017春闘の中間総括を行った。回答状況はほぼ前年並み。ベア獲得や非正規労働者の処遇改善では前進例も報告された。スト権の確立(52%)やスト実施(12%)は、前年同期をわずかに上回るにとどまり、来年に課題を残したとしている。
有額回答を引き出した314組合の単純平均は5289円(1・99%)で、前年同期比34円の減(0・02ポイント増)となった。同一組合比でも前年とほぼ同水準だという。
非正規労働者の時給引き上げは、163件の平均で19円。中間総括によると、民放労連では放送局構内で働く派遣労働者の派遣料金引き上げや、食堂無料開放などの回答を多くの組合が引き出した。医労連では十数年ぶりにストを配置し、時給を20~190円引き上げた組合もある。企業内最賃協定については出版労連の2組合が100円引き上げて時給1100円に、全印総連でも同1500円を実現した組合がある。
討論では、JMITUが、ある職場の定年後再雇用の組合員が「同じ仕事なのになぜ賃金が5割に引き下げられるのか」と訴え、月額3万円の賃上げを獲得したと報告。それでも月額約20万円で、一時金も寸志程度であることから、人手不足の状況も生かしつつ、引き続き改善を求めていく構えだと語った。
民放労連は、ストライキを配置して16年ぶりに全社員対象のベアを獲得した静岡朝日テレビ放送労組の経験を紹介し、「経営側の壁は厚い。ストを配置して要求できたかどうかで結果が大きく分かれた」とスト権確立の意義を語った。
福祉保育労は今年、大幅増員と戦争法廃止を政府に求める初のストライキ闘争を展開。経営側の理解を得る努力を重ねた結果、卒園式や年度末で多忙な時期だったにもかかわらず、96職場で658人が指名の時限スト(うち35人が終日スト)に参加したと報告。「中央でスト権確立を呼び掛け、地方に議論が広がり、考えてくれる組合員が増えた」と述べた。
医労連は、最低賃金の地域間格差が看護師などの月例賃金の格差に反映しているとして、是正が必要と強調。看護師や介護士をはじめ専門職の特定最賃新設など、独自の最賃アクションプランを策定する考えを表明した。
複数の地方組織、単産から示されたのが、学習の大切さ。組合役員や職場活動家が世代交代している現状を踏まえ、「賃金とは何か」をはじめ、丁寧な取り組みが必要と強調された。
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