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    「共謀罪の真実」普及しよう/松宮立命館大学教授が指摘/日弁連の集会で

     共謀罪法(改正組織的犯罪処罰法)成立に抗議する日弁連主催の集会(6月21日)で、立命館大学の松宮孝明教授(刑法学)が講演した。同法について、今も多くの国民がテロ対策に必要などと誤解していることに言及し、「共謀罪の真実を普及していく必要がある」と語った。同教授は先の国会の参院法務委員会で意見陳述した。

     

    ●テロ対策はうそ

     

     松宮教授は「法律の名称からいまだに共謀罪がテロ対策だと思っている人も多いが、そうではないことが国会質疑ですでに明らかになっている」と説明。さらに国際組織犯罪防止条約(TOC条約)を批准するために必要という意見も事実と異なると指摘した。

     この点では、各国が条約を批准する際の指針となる「立法ガイド」を執筆した刑事司法学者のニコス・パッサス氏が東京新聞6月5日付紙面で「条約はテロ防止を目的としたものではない」と明言している。

     

    ●運営責任者に懸念

     

     松宮教授は共謀罪が施行された場合の危うさも指摘した。法の運用に関わる警察庁の担当者が中村格組織犯罪対策部長であることに注意を喚起。中村氏は警視庁刑事部長だったとき、安倍首相とも近い元TBS記者でジャーナリストの山口敬之氏の強姦疑惑で逮捕を執行しなかったことを認めている人物。「中村氏は菅義偉官房長官の秘書官を努めたこともある。疑惑のある責任者のもとで共謀罪が運用されることを知らない人も多い」と述べた。