共謀罪法案について懸念を示した国連の特別報告者ジョセフ・カナタチ氏が6月9日、日本弁護士連合会主催の集会に英国からインターネット中継を通じて参加し、発言した。同法案に対し「プライバシー保護に関して問題が解消されていない」とあらためて問題点を指摘した。
●「特異な日本政府」
カナタチ氏は国連の人権理事会でプライバシー権を担当しており、各国の法案作成について助言を行ってきたという。
菅義偉官房長官らがカナタチ氏の政府宛書簡に反発していることについて、「(国際的に見て)日本の共謀罪法案の審議は特異なやり方だ」と反論した。
「欧州などの国ではプライバシー侵害の恐れがある法案をつくる場合、通常1年以上にわたって特別報告者と政府間で内容を協議する」と述べた。「共謀罪法案については、政府の側で審議時間を(衆参合わせて)60時間に設定するなど既にタイムテーブルが決められており、日本国民の利益を守るためには公開書簡が適切だと判断した」と説明した。
カナタチ氏は法案の内容を「手綱も鞍(くら)も付けずに馬に乗ろうとしている状態」と表現。「日本政府と日本国民に『これでは危険だ』と伝えることは私の義務だ」と話した。