連合は6月1日、熊本市内で中央委員会を開き、重点政策と向こう2年間の「政策・制度要求と提言」、2017春季生活闘争中間まとめを確認した。政府の「働き方改革」では、自動車運転業務など例外扱いされた業種から不満が相次いだ。
●ドライバーへの差別
「働き方改革」について、神津里季生会長は「同一労働同一賃金に向けた均等待遇原則、上限規制の法制化といった、かねてより連合が求めてきたことに社会的コンセンサスが得られ、実を結んだ。着実な法改正に取り組んでいきたい」と語った。
その上で、法改正後には労使で最適な労働時間を見つけていかなければならないとし、「間違っても『上限ができたからそこまで働かせてもいい』という誤解や悪用を許してはならない」と強調。36協定の仕組みや適正な運用を知らせる社会的キャンペーンの展開を呼び掛けた。
国の実行計画では、水準や実施時期に例外が設けられた業種・職種の組合から意見が相次いだ。
一般の残業上限規制よりも長い年960時間とされ、施行後5年の猶予期間を設けられた自動車運転業務。運輸労連からは「大変残念と言わざるを得ない。一番過労死の多い業種なのに、今より長い労働時間規制になる。ドライバーへの差別と言わざるを得ない」と厳しい言葉を投げかけた。
非正規公務員の任用根拠や期末手当(一時金)支給を定めた、地方公務員法・地方自治法改正法(5月成立)では、自治労が「処遇改善の一歩になる」としつつも、雇用の安定にはつながらない点を指摘。「働き方改革の全体の議論からもかけ離れ、不十分」と述べた。
日教組や連合北海道からは、公立学校教員の長時間労働改善の必要が訴えられた。
逢見直人事務局長は自動車運転業務について、「罰則付きの上限規制を実施することは大きな前進だった」としつつ、荷主団体の理解が必要なことや、中小のトラック業界から強い抵抗があったことを紹介した。「人が来なくて事業が成り立たなくなる。より短く、原則に近付けることが大事ではないか。(猶予措置については)早期の適用に向けて努力する」と答弁した。
●「春闘の構造転換を」
春闘の中間まとめでは、須田孝総合労働局長が5月12日段階で、中小のベアが大手を金額、賃上げ率ともに上回ったと述べ、「低成長で物価上昇もない中、明日への希望をどうつくっていくか。賃上げが当たり前の社会をつくろう、という運動はこれからも継続する必要がある」と語った。
特に、昨年開始した「大手追従・準拠などの構造の転換」や「付加価値の適正分配」の運動の手応えを述べながら、「2018年以降、どういう春闘にしていくのかという議論を活発化させたい」との考えを示した。
底上げ・底支え、格差是正を重視する方向について、「将来に向けた春闘の構造転換を引き続き行うことが肝要」(自動車総連)、「強く賛同する。賃金改善分は中小が大手を上回っているが、(定期昇給相当分を含めると)格差是正が進んでいないのが実態。絶対水準にこだわる春闘、個別賃金の取り組みの強化を」(JAM)などの意見が出された。
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