5月に入り、各労組で2017春闘の中間総括が行われている。連合、JAM、自動車総連の集計では、中小企業労組の健闘が報告されている。
○賃上げの流れ継続/連合
連合は5月25日、2017春季闘争の中間まとめ案を発表した。「賃上げの流れは継続している」と指摘し、中小組合の賃上げが大手回答や昨年同期の実績を超えた点を評価している。
5月9日現在で3978組合が回答を引き出した。定期昇給相当分を含めた全体の加重平均は5806円(1・99%)で、昨年同期比でマイナス109円、同0・03ポイントとほぼ同水準にとどめている。
ベアなど賃金改善額を明示できる組合のうち、300人未満の中小のベア・改善額は1382円(0・58%)。中堅・大手の1327円(0・45%)を、額、率ともに上回っている。
中間まとめ案は、昨年から始めた「大手追従・大手準拠などの構造を転換する運動」が進むとともに、付加価値の適正配分や取り引きの適正化が必要との認識が社会全体に浸透しつつあると指摘している。
今後は「春闘をいかに機能させていくか、検討のキックオフとする」(須田孝総合労働局長)予定だ。
○中小がベアで大手超え/JAM
中堅・中小の金属関連労組でつくるJAMは5月26日、17春闘の中間総括を確認した。ベア平均は300人未満の中小労組が中堅・大手を上回っている。賃金の絶対額を意識する「個別賃金」に取り組む組合も増加した。
ベア分が分かる組合のうち、300人未満の中小346組合のベア平均は1367円で、千円余りの中堅・大手を5月段階でも上回っている。中間総括は「人手不足への対応と社会的な関心の高まりにより、特に中小企業においても、雇用者を維持・確保するために賃金改善が行われている」と推測する。
ただ、中間総括は「連合が求めるマクロの要請としての2%からはかい離しており、不十分」と指摘。安河内賢弘労動政策委員長(副会長)はベア春闘の継続を訴えた。
本部が注目するのが、格差是正を促す個別賃金の取り組み。現行の賃金水準を開示できた組合は518組合で、取り組み前の15闘争時から2・5倍増に。そのうち賃上げを要求したのは278組合で、回答を得たのは157組合と、それぞれ2倍増、1・5倍増となった。安河内氏は「個別賃金元年と呼ぶにふさわしい結果だ」と評価している。
○中小が昨年比プラス/自動車総連
自動車総連も春闘回答で中小が健闘している。300人未満の420組合のベアなど賃金改善分の平均が昨年比でプラスを計上。販売、輸送の組合は、完成車メーカー労組などでつくる拡大戦術会議12労組の回答平均を上回っている。36協定の上限見直しでも成果が報告されている。
規模別では、300人未満の中小組合が昨年比154円プラスの1319円。3千人以上の1254円を超えた。業種別では、販売が同266円プラスの1476円、輸送が同13円プラスの1384円で、トヨタや日産など拡大戦術会議12組合の平均1358円を超えている。
5月24日までに、集計対象組合の85%にあたる942組合が妥結か妥結方向となり、うち727組合で賃金改善分を獲得した。
注目を集めた、年720時間超の36協定をなくす課題では、未達成だった121組合のうち、39組合が3月末時点で720時間以下に見直したという。
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