「機関紙連合通信社」は労働組合や市民団体の新聞編集向けに記事を配信しています

    タクシーとして規制すべき/ウーバー問題/欧州司法裁判所が判断へ

     欧州司法裁判所(ECJ)の法務官は5月11日、「(脱法タクシー事業の)ウーバーは旅客輸送事業者。一般タクシーと同じ法令を順守すべき」という見解を示した。バルセロナ(スペイン)のタクシー運転手協会が訴訟を起こしていた。法的拘束力はないが、ECJは法務官の見解に沿った最終判断を下す確率が高い。ウーバーは、自らを情報提供会社と主張し、争っていた。ECJは数カ月以内に判決を言い渡す。敗訴した側は上訴できない。

     

    ●欧州では営業困難に

     

     国際運輸労連(ITF)はこの動きについて、シェアリング・エコノミーが今後どのように規制されていくかを占う重要な布石になると歓迎した。経営団体の国際道路輸送連盟(IRU)も「タクシー業界に公平競争を確立する一歩」と評価。これに対しウーバー側は「時代遅れの法律を改める機会を奪うもの」とけん制した。

     素人運転手が自家用車を使うウーバーポップは欧州の場合、反対運動によって相当数の国で既に運行できない状態だ。この裁判で原告が勝利すれば、その流れは確実なものとなろう。

     一方、ドイツ連邦裁判所は、運転手と客を直結するウーバーのアプリ自体が同国の競争法に違反していると結論付ける方向だ。ベルリンのタクシー会社が訴えていた。5月18日には「『ウーバーブラック』をドイツで禁止した場合、欧州連合の法令に相反するか」と、法解釈を上級機関ECJに照会した。ウーバーブラックは同社のハイヤーサービスで、ライセンスを持つ運転手を使っている。照会の結論は12カ月以内に出される。(浦田誠・国際運輸労連内陸運輸部会長)