日本労働弁護団や自由法曹団、社会文化法律センターなど八つの法律家団体でつくる「共謀罪法案に反対する法律家団体連絡会」は5月19日、共謀罪創設法案(組織的犯罪処罰法改正案)の衆議院法務委員会での強行採決に対し、抗議声明を発表した。「人権保障と民主主義の未来に大きな禍根を残すこの法案の阻止へ全力を尽くす」と表明している。
声明は、日本では現実に犯罪が起きた場合や、その危険性が生じた場合に初めて(逮捕・勾留などの)国家権力が事後的に発動されるシステムになっていると指摘。300もの犯罪について共謀段階から処罰できる法案は「既遂処罰を基本としてきたわが国の刑法体系を覆し、国家が市民社会に介入する際の境界線を大きく引き下げるものだ」と批判した。その狙いについて「市民の異議申し立て活動に対する一網打尽的弾圧の意図を疑わざるを得ない」と強調した。
●一般人も対象に
安倍首相らが「一般人は処罰対象にならない」などと述べていることについては、「法案には一般人を対象としないなどという文言はなく、計画と準備行為があれば、条文解釈上、誰でもが処罰対象となり得る規定となっている」と指摘。
今でさえ、警察は市民運動に携わる人々の情報収集や、イスラム教徒らを調査対象にするなどのプライバシー侵害を繰り返していることを紹介した上で、「共謀罪が制定されれば、今以上に市民の行動や、人と人との会話、目配せ、メール、LINEなど、人の合意のためのコミュニケーションそのものが広く監視対象とされる可能性が高い」と警鐘を鳴らした。
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