自治体労組役員や研究者らでつくる官製ワーキングプア研究会(白石孝理事長)は3月20日、政府が今国会での成立を予定している地方公務員法と地方自治法の改正案についてコメントを発表した。非正規公務員の低賃金を固定化する恐れなどを指摘し、廃案にするよう訴えている。
●絶望的な格差を固定化
法案は、大部分の非正規職員を新たに「会計年度任用職員」と規定した上で、(1)フルタイム非正規には給料・諸手当を支払う(2)パートタイム非正規には期末手当(一時金)のみ支払う――としている。同研究会のコメントは、フルタイムかパートタイムかに関係なく非正規職員に給料・諸手当を支払うとしていた原案から大きく後退していると指摘。
特に、裁判例で「正規職員の4分の3に相当する時間」働いている非正規を、地方自治法上の常勤職員とみなして、給料・諸手当の支給を合法としてきたことを挙げ、「法案は(正規職員並みに長時間働く)非正規公務員から将来にわたって退職手当をはじめとするさまざまな手当受給の権利を奪うことになる」と批判している。
コメントは、非正規労働者に対する諸手当支給に優先的に取り組むよう求めている、安倍政権の同一労働同一賃金方針からも逸脱しているとした上で、こう述べている。
「非正規公務員の賃金は正規の4分の1の水準に過ぎない。このような絶望的な格差は期末手当の支給を3年後に認めるというだけでは到底是正できない」
いったん法改正されれば格差が固定されることになるため、同研究会は「一度廃案とし、当事者にとって真の改善になる法制度改正をあらためて検討すること」を求めている。
コメントをお書きください