アスベスト(石綿)含有建材製造企業と国に賠償を求める建設アスベスト訴訟で今夏、初の高裁判断が示される見込みだ。神奈川の第一陣原告の裁判が3月14日、東京高裁で結審。同日開いた支援集会には約900人が参加し、「判決日まで世論を盛り上げ必ず勝つ」と決意を固めあった。
裁判は、人体に有害な石綿の取り扱いについて必要な規制と警告表示を行わなかった国と建材製造企業の責任を問うもの。謝罪と賠償、救済基金の設立を目指している。地裁ではこれまで5度連続で原告勝訴判決が示されている。
同種の訴訟では唯一、東京地裁で原告が負けている。それから約5年、高裁で結審を迎えた。病魔を押しての原告の運動を背景に、本人尋問を実現するなど、逆転勝訴への取り組みを繰り広げてきた。
夫と、結婚を間近に控えた次男を相次いで失った栗田博子さんは、アスベスト疾患の壮絶な闘病生活を語り、同じ仕事の長男が抱える不安に胸を痛める。「アスベストの不安に脅かされている人がいることを知ってほしい」と支援を訴えた。
大工だった夫を肺がんで亡くした桑原さつ子さんは「独立してこれからという時の発症。夫は『なぜもっと早く危険だと教えてくれなかったのか』と悔しがった。こんな建材を作った企業と、許した国を許すことはできません」と語った。
集会には全労連、全労協の代表が連帯あいさつ。自民、民進、共産の国会議員があいさつした。
担当弁護士によると、判決は夏の見込み。それまでに個人署名(既に60万筆を集約)、団体署名、国会議員の賛同、大規模な集会、街頭行動、地方議会での意見書採択など取り組み、全面解決を目指す。
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