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    「次回以降大決戦に」/金銭解決で新たな仕組みか

     連合が2月16日、都内で開いた、解雇金銭解決制度導入に反対する集会では、2000年代に2度提案された金銭解決制とは別の、新たな仕組みが示されるのではないかとの危機感が示された。紛争解決のあり方を議論している有識者検討会委員の徳住堅治弁護士は「次回以降大決戦になる」との認識を示した。

     金銭解決制は00年代の労働基準法改正、労働契約法創設時に導入が図られている。しかし、解雇無効の判決が確定した後に、雇用関係を解消することの是非を問う新たな裁判が起き、結果的に六審制(2回の裁判が必要)になる可能性があるため法制度的に困難だとして実現に至らなかった経緯がある。

     1月末の会合で厚生労働省が示した論点では、地位確認を請求せずに損害賠償を請求する制度や、「一回的解決(地裁・高裁・最高裁の三審で終了)が可能となる仕組み」が検討課題に盛り込まれている。学識者の委員からもこれに沿った意見が執ように示されたことから、集会では「過去2回との違いは何か。新しい実体法をつくろうとしているのではないか」との懸念が示された。

     最高裁がかつて否定した仕組みを、再び厚労省が提案してくるとは考えにくい。委員の一人である徳住弁護士(日本労働弁護団会長)は「どういう構造になるかは分からないが、次回以降大決戦になる」との認識を示した。

     金銭解決制をめぐる、規制緩和派と労働側とのせめぎあいが本格化しつつある。