鉄鋼や造船、非鉄金属の労組でつくる基幹労連は2月8日、都内で中央委員会を開き、今年の春季取り組み方針を確認した。2年分の賃上げを要求し回答を得る2年サイクル方式を取っており、本来なら今年は全体で賃上げを行う年ではないが、昨年1年分のみを要求した造船、総合重工などの組合は賃金改善に取り組む。昨年同様4千円を求める構えだ。
組合員意識調査で産別結成以来初めて、自民支持が民進を上回ったことも報告された。
全体で賃上げに取り組むのは偶数年。ベアが復活した14闘争で主要組合は2年で2千円の回答を得たが、消費増税後の物価上昇で最も高い賃上げとなった15闘争の波には乗れなかった。16闘争は、3千円以上とした金属労協全体よりもやや高めの「2年で8千円」を求めることを基本に、具体化は業種別部会に委ね、造船、総合重工など161組合が4千円の単年度要求を行っていた。
●賃金改善は主要課題
中央委では、川崎重工労組やIHI労連など総合重工の組合から、昨年同様4千円を要求する構えであることが報告された。昨年、継続協議となっていた組合は、2年分要求した組合で37、単年度要求で2組織あり、この支援も課題だ。
神田健一事務局長は個別年度(中間年)ながら賃金改善を主要課題に据えたと報告したうえで、「好循環を実現する2年間の仕上げとして、(中小労組など)業種別部会との連携を強めたい」と答弁。グループ関連企業の底上げへ大手組合の支援を呼び掛けた。
●「野党共闘に批判噴出」
組合員意識調査で、自民支持が民進を上回ったことも報告された。内訳は、民進支持が18%で、自民が23%、過半数が支持政党なしだったという。昨夏の参院選では前職の組織内候補の雪辱を果たせていない。
報告した渡辺強事務局次長は「政権交代可能な二大政党制をめざし連携を図ってきたが、特に野党共闘での共産党との協力関係については、多くの組合員、OBから厳しい批判が噴出した」と述べ、「安易な数合わせをせず、思想の違う政党とは一線を画して、国民に信頼される政党になるよう進言し続けなければならない」と強調した。
組織内議員からは「衝撃的」(高木義明衆院議員)との発言のほか、民進党が原発稼働ゼロの時期前倒しを検討していることに触れながら「長い時間をかけた議論を踏まえず、ふわふわしたポピュリズムに流される民進党には未来がない」(岸本周平衆院議員)などの厳しい声も上がった。
●原発、防衛予算確保
産業政策をめぐっては、増大する電気料金負担の軽減を求める意見が複数出された。再生可能エネルギー固定買取制度の賦課金減免率の継続、原子力発電所の再稼働を求める意見が、鉄鋼関連の部会の代表意見として示された。
神田事務局長は「日本のエネルギー自給率は6%で、経済協力開発機構(OECD)では下から2番目。資源のないわが国は東日本大震災以降、海外の化石燃料に依存し、15兆円の国富が流出している。原発再稼働を含め、国の発展、安心・安定を確保し、経済の根幹の安定をまず図るべきだ」と述べた。
政策課題では、「国内安全保障の確立のために、防衛装備品の計画的かつ継続的な整備・更新の着実な実施」や、国産技術維持のための予算確保を昨秋、稲田朋美防衛相に要請したことも報告された。
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