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    「政府の残業規制案は有害」/森岡孝二関西大学名誉教授

     日本の労働時間は、長時間労働に追いやる規制緩和のアクセルを踏みっぱなしだった。その一方で、効き目のあるブレーキはこれまで一度たりともかけたことがない。

     1987年の労働基準法改正で週48時間から40時間になったが、(残業規制については)法的な強制力がなく、逆に長時間労働が進んだ。98年に出された労働大臣告示では、週15時間、月45時間、年間360時間の延長限度基準が示されたが、強制力がない。急がれるのはこの告示を実効性あるものにすることだ。

     政府が検討中の、月80~100時間を認める残業上限規制は、過労死を容認するもの。経団連会員企業の多くが結んでいる月100時間以上の36協定を追認することになる。このような企業寄りの、腰の引けた規制は有害無益だ。

     戦後70年間たなざらしにしてきた労働時間規制に今こそ踏み込むべきだ。この時期を逃し、エグゼンプション制(高度プロフェッショナル制度)の導入を認めてしまえば、この先20年、30年、半世紀と過労死はなくせない。

     運動を盛り上げ、実効ある規制に踏み出すよう取り組みを強めることが必要だ。(集会での発言要旨)