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    「真の働き方改革を発信しよう」/全労働の森崎巌委員長

     労働基準監督署やハローワークなどで働く職員でつくる全労働省労働組合(全労働)は2月3、4の両日、都内で中央委員会を開いた。あいさつした森崎巌委員長は、政府が進める「働き方改革」に言及し、春闘期を通じて問題点を広く発信していこうと呼び掛けた。

     森崎委員長は、働き方改革で検討されている長時間労働の是正や同一労働同一賃金の実現について、「中身が定まっておらず、真の働き方改革とは何なのかの議論が重要。労働行政の現場をよく知りうる全労働として、『改めるべき課題』『真に必要な施策』を広く発信してく責務がある」と訴えた。

     その上で、働き方改革の危ない側面について警鐘を鳴らした。具体的には、(1)残業代ゼロをもたらす「高度プロフェッショナル制度」の導入(2)人材ビジネス規制の緩和(3)解雇の金銭解決制度の創設(4)労働政策審議会の三者構成原則の形骸化を狙う動き(5)労働法が適用されない「労働者」を拡大する雇用関係によらない働き方の検討――などを列挙して、こう述べた。

     「これらの動きも、働く者のセーフティーネットを壊し、使い捨て雇用と過重労働を一層広げる可能性が高く、全労働の役割を踏まえた監視と発信を強めていくことにしたい」

     

    ●定員削減でもう限界

     

     森崎委員長は、政府の「働き方改革」の具体化に伴って新規業務の増大が想定されていることを指摘。「職場では健康破壊が進み、業務面でも大小の混乱が続いている。もはや増員を図るしかないにもかかわらず、2017年度の定員査定は139人減だ」と述べ、定員削減の実態を明らかにし、批判の声を大きくしていく必要があると訴えた。

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    コメント: 1
    • #1

      てらんまえ (土曜日, 04 3月 2017 02:11)

      最近はあまり聞かないけれど、ベーシックインカムやワークシェリングの発想をもう一度よく考えるべきだと思う。
      とりあえず社会の最低ラインは守っておこうというのも必要だし、非常勤全般の社会的地位を上げ、フリーエージェントかつ労働法で最低限は守られるような、雇用者にとっても働く当人にとってもウィンウィンな関係になり得る専門性の高い人材層を増やすというのも、理想論的なところはあるけど、難解で新しいことばかりやっても本当の「改革」につながる勢いは生まれないと思う。働き方改革を進めるなら、過去のあらゆる取り組みを反芻して、失敗の中から本当に必要なシンプルな正義を拾い上げることが必要。そのために労働局や監督署、ハローワークみたいなところは、労働法の根本にある憲法の生存権を担保するためのツールを堅実に守る行政機関となるべき。職業選択の自由も経済活動の自由も勤労権や勤労の義務も、幹には生存権がある考え方。行政は便利でなくても、民間ではどうしてもできない採算の合わないことをシンプルかつ堅実に実行する存在として存在すればいいのでは。
      政策に近い部分は、政治家とその周辺の官僚がやればいいのであって、今は政治家の人気取りのために労働局みたいなところはいいように使われてばかりいる。
      自治体や省庁は何が目的で何を意識すべきなのかと言ったら、憲法にあるような社会の基礎的なことをまずしっかりやることなんであって。