連合の神津里季生会長は1月19日の定例会見で、経団連の2017年版経営労働政策委員会報告が中小企業の賃上げに否定的な姿勢を示したことに触れ、「悪しき常識」と厳しく批判した。同一賃金など政府の働き方改革を一定評価し、法制化へ労働政策審議会での十分な議論が不可欠と強調した。
神津会長は経労委報告について、「昨年に続き『総年収で』としたことが強く引っかかる。月例賃金は上がっていくものだという常識を取り戻さない限りデフレ脱却はない。そのことをあやふやにしたまま発信するのは非常に危険だ」とけん制。「経団連加盟企業は社会的責任を負っている」として、月例賃金にこだわり抜く姿勢を示した。
特に、「報告」が1万500円を中小労組の引き上げ目安とする連合方針に否定的な姿勢を示した点に言及。「中小企業は賃上げ原資が限られている(から賃上げは相応に限られる)という議論があるが、これは悪しき常識だ。一体誰がそうしてしまったのかということを含め、世の中全体で悪しき常識を断ち切っていくことを、毅然(きぜん)として経団連に求めていきたい」と述べた。
政府が検討する同一賃金や長時間労働対策については、「連合が随分前から言い続けてきたことであり、前向きに受け止めているが、中身が備わらなければならない。労政審でのしっかりした議論が不可欠だ」と語った。
連合傘下の組合がある三菱電機が、違法な長時間労働で書類送検されたことにも言及した。「連合全体の問題として各組織が足元を照らすこと、若い人への目配り、相談を受けやすい日常活動を進めていくとの申し合わせを(直前の中央執行委員会で)行った」と説明した。
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