インターネット上で仕事を請け負い、納品する「クラウドワーカー」について、連合がこのほど、就業実態や意識を聞いた調査結果をまとめた。副業者では平均2・4時間働くなど、長時間労働が懸念されるほか、半数以上がトラブルに直面したことがあると答えている。調査結果を分析し、必要な法整備を検討することにしている。
情報通信技術の発展により、近年「クラウドソーシング」という形の業務委託が生まれた。不特定多数の個人に仕事を依頼し、仲介事業者に登録した人はインターネット上で請け負う仕組み。請け負う人は「クラウドワーカー」と呼ばれ、登録者は国内で約100万人いるとされる。
仕事は、ソフトウェア開発やホームページ制作、サーバー構築、デザイン、記事作成、画像加工、データ入力、調査、テープ起こしなどさまざま。経済産業省はこうした「雇用関係によらない働き方」を促進するための制度整備を検討中だ。
●副業で月収約3万円
調査は昨年12月、20歳以上のクラウドワーカー千人にインターネットを通じて聞いた。専業従事者が36%で、副業が64%。男女別では、女性の専業割合が若干多い。
1日当たりの仕事時間を聞いたところ、専業の人が4・3時間で、副業が2・4時間。副業の場合、通常勤務を行っているとすれば、一日10時間以上の長時間労働になることが懸念される。
平均月収は、専業が7万3268円、副業が3万249円で、職種ごとのばらつきが大きい。システム設計・開発やウェブサイト制作などは高いが、データ入力やライターは低い。収入については、半数が「不満」と答え、特に「とても不満」が2割にも上る。
●保護が必要
半数以上が「トラブルを経験したことがある」と答えた。最も多いトラブルが「報酬の遅延」。次いで、「報酬不払い・過少払い」「不当に低い報酬額決定」「仕事内容の一方的変更」などが続く。トラブル経験は、システム設計・開発やウェブ制作などに多い。解決方法として「仲介会社に連絡」「発注者と交渉」がそれぞれ3割に上るが、泣き寝入りした人も3割近くいる。
今後必要な法規制としては、希望の多い順に「最低報酬額」「最低発注単価」「労働時間」「契約条件変更の制限」「労働者であることの地位確認」(複数回答)を挙げた。
連合は「就労実態を見て労働者性がある者は労働者として保護すべき。保護が及ばない者についても就労者としての保護を図るべきだ。雇用労働からの置き換えはすべきではない」とし、今後必要な労働法整備に取り組むとしている。
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