有料職業紹介など雇用仲介事業の見直しを検討している、厚生労働省の職業安定分科会・労働力需給制度部会が11月9日開かれ、求人事業者への労働条件明示義務や、第三者による委託募集の規制緩和について話し合った。次回会合で報告書案が示される。年内決着が濃厚な状況だ。
見直し作業は識者の検討会報告(6月)を踏まえ9月に開始した。この日で3度目の開催。職業紹介事業者の資格要件の緩和をはじめ、職業紹介事業で得た情報が労働者派遣事業に公然と利用されることに道を開く規制緩和や、複数の職業紹介事業者間で求職者・求人情報を共有する業務提携のルールづくり、人買い業者の横行が危ぐされる「第三者による委託募集の許可・届出制の廃止」などの見直しを含んでいる。
同日、労働側は委託募集の規制緩和について、「事業者と労働者との間に第三者が介入することについては、弊害が生じる懸念が拭えない。実態や影響を見極めないまま(許可・届出制の)廃止すべきではない」と要望。使用者側はルールの簡素化を求めた。
求人の労働条件明示について、労働側は「連合が10月にツイッター上で行った体験談募集では3千件寄せられ、『給料に残業代が含まれていることが(働き始めた)後で分かった』『正社員募集が実際は業務委託だった』などの投稿があった。労働条件の明示はきっちりした規制と厳正な対処が必要だ」と主張した。
厚労省は、虚偽の労働条件を提示した求人事業者への罰則を検討しているが、故意の立証は難しく、実効性には疑問符がつく。労働側は、あいまいで悪質な労働条件の相違について、勧告や企業名公表などの是正策が必要と主張。規制強化を嫌う使用者側と応酬する場面もあった。
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