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    〈自民党改憲草案〉(5)/近代社会の原則を無視/基本的人権はどこへ

     日本国憲法で最も大切なのが平和主義、国民主権、そして基本的人権の尊重です。基本的人権とは、かけがえのない個人としてリスペクト(尊敬・尊重)され、理不尽な境遇を強いられずに生きていける権利のこと。しかし、自民党改憲草案はこの権利を絶対に守るべきものとは位置付けていません。

     かつて王族や貴族が人民を支配していた時代は、生まれによって人を格付けしていました。こうした差別をなくすため、米国の独立宣言は「全ての人間は生まれながらにして平等」であると明記。「生命、自由、幸福の追求の権利」を定めました。これは近代社会にとっての当たり前の原則です。日本を含め世界各国の憲法にこの理念は貫かれています。 

     ところが、改憲草案はこれを「公益及び公の秩序」に反する場合は認めない、というのです。さらに改憲草案「Q&A」では、「誰もが生まれながらに基本的人権を持っているという発想は改めなければならない」とまで言っています。「国家の方が人権よりも大事」という改憲草案は、近代社会の原則を頭から否定した、時代錯誤の代物であることが分かります。