公労使の3者で構成される労働政策審議会(労政審)のあり方を見直す検討会が10月21日、厚生労働省で開かれた。7月に始まり今回で3回目。労使代表の参加で進められている政策決定の仕組み自体を見直す議論が進められている。
日本の労働政策は、公益・労働者・使用者それぞれの代表が参加する労政審の議論を経ることになっている。これはILO(国際労働機関)の3者構成原則に基づくものだ。
検討会では、グローバル化による産業構造の変化や少子高齢化、働き方の多様化への迅速な対応などを理由に、3者構成を含め労政審のあり方が議論の俎上(そじょう)に載せられている。
●代表は政権が決める?
焦点の一つは、非正規労働の増加に伴って労働組合の組織率が低下するなか、働く者全体の声をどう代表するかという問題だ。この日は外部からのヒアリングとして連合の逢見直人事務局長が出席し、「労働政策は職場実態を熟知した労使の議論が不可欠」と指摘。春闘での格差是正や最賃引き上げ、労働相談など非正規や中小、未組織労働者の労働条件改善を進めている連合の運動実践を説明した上で、「連合の審議会委員は全ての働く者の代表として選出され発言している」と述べた。
一方、国立社会保障・人口問題研究所の森田朗所長はこう主張した。
「労使どちらの代表かによってポジショントーク(利害関係のみを重視した発言)になってしまい、長期的な政策を考える場合などは柔軟な議論ができない。また労使双方の利害を一本化することもうまくいかなくなってきており、誰がどう代表を選ぶのか。最終的には政権が決めるのが政治の仕組みだ」
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