労使が合意すれば残業でき、その上限時間も延長できる36協定のあり方を見直す検討会(事務局・厚生労働省)の第3回会合が、10月14日に開かれた。今野浩一郎座長(学習院大学教授)は「上限を規制する際には、必ず弾力化と適用除外をセットで考えなければいけない」と述べた。
この日は事務局からヨーロッパ主要国での労働時間規制が紹介された。欧州連合(EU)指令では、時間外労働を含め週あたり48時間が上限とされているが、最長4カ月間の平均で週48時間以内ならOKと一定の幅を持たせている。各国の労働協約では「4カ月」の算定期間を最長12カ月まで延長できるほか、警察官や船員、医療従事者などを対象に一定の適用除外(オプト・アウト)を認める制度もある。
これらを踏まえ荒木尚志委員(東京大教授)は「4カ月、あるいは1年という長期を通じて週平均48時間に納めるというのがEUの方向性。(時間外労働の算定期間は)1カ月など短くせず、長くとる必要がある」と指摘した。
●労使の合意で規制?
荒木委員は「多様化する働き方に対応するため、国の規制だけでなく現場に近い労使の合意で規制することが重要」と述べた。
この問題では、「日本では企業別の交渉が中心なので、社会的なルールをつくるのは限界がある」(山田久委員)、「労使交渉に委ねる前にどれだけマクロな調整ができるのか探るのがこの検討会の役割では」(黒田祥子委員)などの意見も出された。
今野座長は「上限規制の水準をどう設定するか、またそれに対する(算定期間などの)弾力化や適用除外をどのように選択するかが重要だ。今日は議論が前に進んだ」と述べた。
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