「巨大災害から国民の安全を守るために憲法改正が必要」――安倍政権は、災害対策のために憲法に緊急事態条項が必要という主張を繰り返していますが、本当でしょうか。
東日本大震災の被災3県の知事と市町村長計42人に共同通信が行ったアンケートでは、憲法に緊急事態の規定がないことで人命救助に「支障があった」と答えた首長はゼロ。復旧に関しても9割以上が支障はなかったと回答しました。
アンケートから浮かぶのは、被災直後に必要なのは現場を把握している当該自治体が権限を持ち、対応すること。政府への権限集中ではありません。
現行の災害対策基本法などでも、個人所有地のがれきを撤去する第一次的な権限を市町村に認めています。国会閉会中でも「生活必需品の配給」を内閣の緊急政令でできる仕組みが既にあるのです。
むしろ必要なのは、訓練を含めた事前の準備です。東日本大震災では、原発事故での避難計画がなかったため寝たきりの高齢者が避難中に多く命を落としました。権力を集中させてもこうした命は救えません。
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