「お試し改憲」とソフトな印象で導入を担う緊急事態条項。しかし自民党改憲草案は、緊急時に憲法を停止して、内閣が法律も予算も自由に変えられるようにするといいます。これで私たちの暮らしはどうなるのでしょうか。
まず想定されるのは国民の「動員」です。自民党の「改憲草案Q&A」によれば、これまでの有事法制では、国民への要請は全て協力を求める形でした。しかし、草案は「国民に指示できる」「国民の遵守義務を定めた」ものと解説。
つまり、「国民は国に服従せよ」ということで、権利は制限されます。
いまでも、武力攻撃やテロが起きれば、自治体職員のほか医療、運輸、建設、マスコミ、通信などの民間企業を動員する仕組みがあります。緊急事態条項で、さらに国民一人一人をより強制的に動員できるようになります。労働者が危険な業務を強要される事態もあり得ます。
民主主義社会では、国民が主人公です。しかし、緊急事態発令後の社会ではこれが逆転。国家が主人公で、国民はその家来のよう。国家が暴走したらどうなるか、戦前の日本を振り返る必要があります。
〈イラスト〉
「連合通信・隔日版」
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