香川県善通寺市が任用替えにより非常勤職員の組合との労働協約を全て破棄した問題は、現在香川県労働委員会で判断待ちの状態にある。「法の谷間」に置かれている非正規公務員の不安定な境遇を、改めて浮き彫りにしている。
●「組合が消滅する」
労使の主張は、門前払いにすべきという市側と、組合つぶしで不当労働行為だと訴える組合側とで、真っ向から対立している。
市は、協約締結権のない一般職への任用替えについて、2014年の「総務省通知」に沿ったものだと主張する。同通知は最近の裁判例などを元に非正規職員の処遇のあり方を整理している。そこでは、補助的・定型的な仕事や一般職と同等の仕事は、一般職として任用されるべき、としている。非常勤職員の任用根拠は法律に基づくもので、交渉事項ではない――というのが市の言い分だ。
では、なぜこれまで特別職として任用していたのか。市の担当者は連合通信社の取材に対し、「任用根拠がはっきり分からなかった。地公法に任用期間の定めがないというだけの理由で(特別職を)当てはめていた」と説明する。「誤った判断」のツケを組合員に押し付けているのではないかとの問いには「処遇はほぼ同じ。不利益変更はない」と答えている。
一方、善通寺市職労出身で自治労香川県本部の小野賢治書記長は「組合の息の根を止めようとしている」と憤る。民間委託を推進した前市長時代以来、組合は「直営堅持」を求めて対峙してきた。保育園の民営化をめぐっては粘り強い交渉の末、15年3月、希望者全員の雇用確保、協約の継続適用を確約させている。
その直後の任用替えであることや、民営化阻止を訴えてきたこれまでの経緯、「(協約締結権を失えば)結果的に組合が消滅する」との市の担当者の発言などから、明白な不当労働行為――と強調する。
●周到な準備必要なのに
市が根拠とする「総務省通知」をめぐっては、同省が自治体や人事委員会に向けて連絡文書を出し、想定される質問への回答という形で説明がされている。
その中で「ただちに一般職に切り替えることを求めているのか」という問いに対し、「仮に改善すべき点があるのであれば、実際の人事管理の中で計画的な改善に着手することが必要」としている。要は、周到な準備が必要ということ。事実、全国的にもこの4年間の減少はわずか4%にとどまる【表2】。今回の善通寺市の任用替えはこの説明の趣旨に沿っているといえるか、甚だ疑わしい。
もう一つ手続き面での瑕疵(かし)が指摘される。
任用替えを進めるための、昨年4月付けの新規則制定が、条例制定の半年以上も前に行われたということだ。自治体職員の処遇は、賃金表を示した条例を先に定め、休暇などそれ以外の労働条件は規則で定める。同市のように順序が逆転することは「ありえないこと。地方自治法を軽視している」と小野書記長は指摘する。
香川県労委は当初、16年3月までに結論を出す方向だったが、9月に延期。23日現在、まだ示されていない。
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非正規公務員の処遇に詳しい上林陽治・自治総研研究員の話
非正規公務員は、民間の非正規労働者には当然の権利が保障されず、労働契約法、パート労働法も適用されない。善通寺市の問題は、『任用行為を隠れみのにした無権利状態をいつまで放置するのか』という本質的な問題を提起している。『公務員だから仕方がない』として権利が保障されず、労働法の保護が受けられないという問題を、労働委員会はきちんと指摘すべきだ。(おわり)
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渋谷 (金曜日, 17 3月 2017 00:35)
死ぬことを、選んでもどうぞっと
こちらの生活状況すら聞いてくれない職員が、公務員??
絶対、訴えられる用意して、子供残して、四国新聞の知り合いに強力な元自殺します
あの対応は死んでも許しません
恨み通します