神奈川フィルハーモニーの解雇事件が4月8日、和解で解決した。楽団(使用者)は解雇を撤回した上で、2人が合意退職することとし、「相当額の解決金」を支払うという内容。今後、良好な労使関係の構築に努力することでも合意した。
●不当労働行為を断罪
楽団員の杉本正さんと布施木憲次さんが解雇されたのは4年前。2人は神奈川県職労連傘下の公務公共一般労組と、その分会(神奈川フィルハーモニー分会)で役員を務めていた。県職労連の杉田厚書記長は「組合つぶしのための見せしめ解雇だった」という。神奈川県労働委員会は2014年7月、分会の存在や活動を否定する言動を繰り返すなど「楽団には不当労働行為意思があった」と認定し、分会への支配介入と不利益取り扱いを断罪している。
中央労働委員会で合意した和解内容は次の通り。
(1)楽団が2人を解雇したことが県労委で不当労働行為と判断され、かつ紛争が長期にわたり継続したことに関して遺憾の意を表明し、楽団と組合は今後、このような事態を招くことがないよう良好な労使関係を構築するため努力する
(2)楽団は2人に対する解雇を撤回し、2人は合意退職する
(3)楽団は相当額の解決金を支払う
職場復帰に至らなかったのは、和解せずに争いが続いた場合の2人の年齢などを考慮したためで、「苦渋の選択」だったという。ただし、演奏技術についての楽団側の主張を退け、音楽家としての名誉を回復できた。さらに「今後の不当労働行為への抑止力になり得る額の解決金」(杉田書記長)を得たことで、和解を受け入れた。
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