2017年3月末までに計3万4000人もの人員削減計画を策定した、総合電機大手の東芝。来期の超短期V字回復をめざす同社のリストラについて、労働総研顧問の大木一訓日本福祉大学名誉教授は「安易でずさんな首切り」と厳しく批判した。電機・情報ユニオンなどの集会での講演(3月25日、川崎市内)。
東芝は不正会計が明るみに出て、今期巨額の赤字を計上予定。グループとしての削減目標は来年3月で3万4000人(14年度末従業員比)に膨らんだ。
大木教授は「どこまで増えるか分かったものではない。通常リストラは計画を立てて実行するが、銀行の融資を得たいあまり、事業所ごとに首切りの人数を決めている。安易でずさんなやり方だ」と批判し、現経営陣の責任を指摘。「不正会計に関与した人物(室町正志社長)がリストラを行うなど許されるものではない」と切り捨てた。
●安倍政権との関係
不正会計問題は実は根が深い。カネボウ、オリンパス、ライブドアなど過去の事案を見れば、悪質さ、金額ともに刑事訴追されるべき事案だが、東京地検の動きは鈍い。
事の発端である、米原発製造大手ウェスチングハウス社(WH)買収は原発新増設の独占的受注を図ったものとみられる。ところが、11年の東京電力福島第一原発事故で原発ビジネスは暗礁に乗り上げた。汚染水問題で有名になった仏アレバ社が倒産状態になるなど、世界的に原発市場が縮小するなか、東芝は29年までに64基もの原発受注計画を打ち出している。
甘い追及の背景には、原発を推進し、核武装をも視野に入れる安倍政権との汚れた関係があると、大木教授は指摘した。
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