最低賃金の再改正を要請/労働組合が厚労相に/物価高を根拠に対応求める
物価高騰が続く中、10月に発効した今年度の最低賃金額では困窮者が急増するとして、非正規労働者を多く組織する労働組合が10月24日、加藤勝信厚生労働相に最賃の再改正を要請した。下町ユニオンや生協労連、全国一般全国協議会、郵政ユニオンなどでつくる「最低賃金大幅引き上げキャンペーン委員会」が同日、都内で会見を開いた。
今年の改定で、最賃は平均31円引き上げられて、853~1072円となり、10月から順次発効した。
同委員会は最低賃金法12条(地域別最賃の改正等)の「必要があると認める時は…その改正又は廃止の決定をしなければならない」との条文や、中央最賃審の公益委員見解(今年8月)が「今後、(略)消費者物価等の経済情勢に関する状況認識に大きな変化が生じたときは、必要に応じて対応を検討することが適当」としたことを指摘し、再改正を要請。「物価高騰という緊急事態の中で、最賃改定制度を柔軟に運営すべき」と述べている。
厚労省によると、最賃改定が年1回という定めはなく、急激な物価高騰などの事態が生じれば、再改正も制度上は否定されるものではないという。
生協労連の渡辺利賀書記次長は「ダブルワーク、トリプルワークをせざるを得ない」「子どもに(医療機関への)通院をあきらめさせている」というパート労働者の声を紹介し、「ただでさえ苦しい生活に物価高が追い打ちをかけている」と、早急な改善を訴えた。
同委員会事務局の河添誠さんは「異常な物価高に対して、年に1度の改定では追いつかない。物価は毎月上がっているのに、来年10月まで今の最賃水準でいくのか。(最賃近傍で働く人のことを)真剣に考えてほしい」と語った。
今後地方最賃審に対しても同様の要請を行う。
〈写真〉わたらせユニオンの嶋田泰治書記長は「フランスやドイツでは年に何回も改正している。日本でも年内に中央最賃審議会へ諮問してほしい」(左から2人目、10月24日、都内)